子狐と桔梗

桔梗の花が五分咲きとなった。

歩人に桔梗の花を植えたのは、学生時代に読んだ一人の童話作家のお話がきっかけだった。

安房直子

既にこの世を去って久しいが、僕が最初に彼女の「狐の指窓」という童話に出会ったときは、まだ現役の作家だった

お話の粗筋は

昔、両親を早くに亡くした一人暮らしの若い猟師が、いつものように林の中を歩いていると、遠くに子狐の姿を見つけ追いかけて行くと、いつもと違う風景の中に一軒の染物屋を見つける

子狐が俺を騙そうとしているのだろう思った若い猟師は子狐の化けの皮を暴いて仕留めてやろうと、染物屋に入って行く

中から丁稚のような小僧が出てきて、猟師に染物をしないかと誘う

染めるものなど何も持っていないと言う猟師に指を染めることを勧める小僧

いぶかしんでいると、染めた指で窓を作ってその窓をのぞくと自分の見たいものが見れるのだと小僧は言う

ここはひとつ騙されてやれと、指を藍色に染めてもらい、その指で窓を作って覗き込むと、亡くなった筈の猟師の母親が若き日の姿で、子供の自分と手をつなぎ庭で自分をしきりとあやしてくれているではないか!

猟師は感激して、小僧にお代を払おうとすると、小僧はお金ではなく猟師の持っている鉄砲を置いて行くようにと言う

困った猟師ではあるが、両親を亡くしてからずーと一人で寂しく暮らしてきた猟師は、母親の面影を手放すことが出来ず、しぶしぶながらも鉄砲を小僧に渡し家路に向かう

家に帰ってからも、何度も指で窓を作り、逢いたかった優しい母親の姿を眺め、久しぶりに暖かな気持ちとなって床についた

しかし、翌朝、猟師は習慣で顔を洗ってしまい、気付いた時には指の色は落ちてしまっていた

もう一度、指を染め直してもらおうと、昨日の染物屋に向かうが、どこを探しても染物屋が見当たらない

探し疲れたとき、目の前に一面の桔梗の原が広がった空き地に行き着き、遠くで子狐がコーンと鳴くのが聞こえた

若い猟師はその時、初めて思い出したのである

数週間前に、この桔梗の原で子狐を連れた母狐を仕留めたことを・・・

猟師は子狐に向かい頭を下げ、家に帰ったのち二度と鉄砲を持つことはなかったそうである

とこんなお話

今、桔梗の原を作りたくて、毎年種を取り苗を育て少しずつ広げている

ところが昨日

久々に5時過ぎに身体があいたので、林の中を歩きにいったら、秋に取れるはずの落葉キノコがごっそり (*^_^*)

そこで、後で回収しようとところどころに集めて置いて、1時間ほど歩いた後、ビニール袋をもって回収してまわり、後2.3周と歩いていると林の出口にごっそりとキノコの山 ????

全て回収したはずだし、こんなところに集めた覚えはないしと・・・

勝手に、この春生まれて林の中に住みついている子狐君のプレゼントと決めつけた。

その後は、一人でニコニコしながら「気を使って頂きありがとう」などと独り言を言いながら、もう1周歩いて帰ってきた。

多分、物忘れが激しくなったせいかも知れないけれど、物忘れもいいものだなーと、にやにやしていたら、つい先ほど子狐君が歩人の裏口まで遊びに来た

やっぱり、あのキノコは狐クンのプレゼントのような気がしてならない

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